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ダブリンバス乗車拒否、苦難の傘探し [ダブリン観光(2000)]

英語学校第3日目のことを書くにあたって、訂正しておかなければならない事がでてきた。月曜のオリエンテーションで、ダブリンバスのオフィスで定期を買った、と書いたのだが、実際買っていなかったようだ。この日の日記で、朝は歩いて学校に行ってるし、午後は…これから書く出来事があった。

2000年1月12日(水) 午後
学校を出た所でバスドライバーに乗車拒否された。何とかシティセンターにたどり着いて、DunnesとBootsに行ったが、目当てのレインコートは見つからなかった。…

今朝の天気みたいなのが何日も続いたらたまらない。そう思ったので、学校でお昼ご飯を食べてから、ダブリンのシティセンターに向かった。雨対策しなくては。しかし、学校を出てすぐのバス停に来ていたバスに乗ろうとしたら、ドライバーにこんな事を言われた。

「Do you have small change?」

あなたは小さな変化を持っていますか? 

ではなく

「小銭は持ってるか」である。

ちなみに「小さな変化」はa small change/small changesで、数えられるものと見なされる。小銭は数えられない、というか、もともと集合体だからそのままchangeになる(集合していなければa coin=硬貨になるだろうし)。

…なんてことを瞬時に考えて理解していたかと言えばそうではなく、5ポンド紙幣を出して乗ろうとした時に、ドライバーが怪訝な顔で言ったから「小銭の方だな」と思っただけである。無い、と言うとドライバーの反応はこう。

「Sorry, you need small change」
(悪いが小銭が必要だ)

つまり乗せてくれないのである。

当時のダブリンバスでは、一応プリペイドカードも出ていた(2回分とか変な回数の)が、普通は乗る時に所定の金額か、それより多い小銭を透明プラスチックの運賃箱に入れる。そして、二枚のプラスチック板に何かの標本のようにはさまれた小銭を、運転手が横から見ていくら入っているか数え、足りていればスイッチか何かを押して小銭を下に落とし、レシートを出してくれる。運賃が必要以上だった場合、差額はレシートに記載されていて、そのレシートをダブリンバス・オフィスに持って行けば現金で返してくれる、という仕組みだ。

この仕組みについては後日、担任のピーターから背景の説明があった。
たしかこんな感じだった。

「みんな、ダブリンのバスは不愉快だと思ったことはないか。まずドライバーの態度がでかい。そして、乗客のマナーが悪い。このラスガーやチャーチタウンみたいに、ホストファミリーの家があるような地域はまだいいが、よろしくない地域をまわるバスの乗客のマナーは最悪だ。車内でタバコを平気で吸い、ドライバーは見て見ぬ振りだ。襲われたら困るからな。

運賃を払うのがあんな妙なシステムになっているのはその証拠だ。ドライバーが金を受け取らないだろう。両替もしない。乗客の払った金は、厳重にロックされた運賃箱に入れなくてはならないからだ。他の地域ではドライバーがバス会社の金を預かっていて、客から紙幣を受け取ったり、釣り銭を渡したりするのが普通だが、ダブリンではバスドライバーが多額の現金を持っていると、強盗に遭う可能性が高いからな。おかげで不便なもんだ。小銭がないと乗れないし、釣りもあの紙切れをいちいち持って行って換金しなければならん。だから俺はダブリンに来てすぐ自転車を買った。よっぽど快適だ」

10年後の今ではどうなっているのか見当つかないが、当時のダブリンバスは本当にそうだったのだ。なおしばらく経ってからピーターの言うような「よろしくない地域」をまわるバスに乗る日が来るが、大変よろしくなかった。

ちなみに学校の前からシティセンターまでは85ペンス。この85ペンスがないために乗れないとは…しかもバスドライバーは、全く冷ややかで、助け舟ひとつ出してくれない。完全に自己責任ということである。

「あの運転手が自分の財布から小銭を出して、両替でもしてくれたらなあ。不親切だなあ」と思ったりもした。が、やはり例外は作ってはいけないのだろう。

筆者は学校に戻り、中庭のキャンティーン(喫茶室)に行った。そしてコーヒーを70ペンスで買って、5ドル札を崩した。

そしてバス停に戻って次のバスに乗り、シティセンターにたどり着いたのだが、こっちでもはかどらなかった。風が強い時のために傘よりレインコートだ、と思っていたのだが、これが売っていないのである。何でも売ってそうなスーパー、Dunnes Storesに行ってみたが空振り。ひょっとしたら、と思って行ったドラッグストアのBootsもダメ。レインコートどころか傘すら売ってない。そう言えば、去年の2回の旅行でも、今回のホストファミリー宅でも、傘をさしてる人はいただろうか? なんか、いなかったような気がしてきた。

アイルランド人はみんなどうやって雨風をしのいでいるんだ? と考えつつ、気付くと足はオコンネル橋のお土産屋に向かっていた。ここは旅行中によくお土産を買いにきたし、いつもかかってるアイリッシュ・ミュージックがいい感じだからである。疲れていたのだ。

きらびやかなお土産屋の中で、軽快な音楽を聞きながら色々な商品を眺めていると、さっきまでの苦労が嘘のようだ。…おや、ある、あるじゃないか!

折り畳み傘、そしてレインコートも。

写真は残っていないのだが、ここで重要なのは両方緑色だということである。さすがアイルランドのお土産屋、イメージカラー一色とは。

悩んだ挙げ句、予定変更して折り畳み傘を買った。全身緑色のレインコートはさすがに奇抜すぎる気がしたし、それに、傘の2倍以上の値段だったということもある。オールグリーンの折りたたみ傘は2ポンド99ペンス。当時のレートで430円くらいだ。ついでにカレンダーとペンを2本買ったが、帰りのバス代1ポンド5ペンスがなくならないよう気をつかった。

100710_1449_01.jpg

傘はもう手元にないけれど、その時買ったIrish Writers Calendar 2000(アイルランド人作家のカレンダー)は今でも写真部分だけ切り取って飾ってある。ちなみに検索してみたところ、今でも同じデザインで売っているらしく、なぜかホッとした。

Irishwriters.jpg
(↑Real Ireland Design ホームページより)

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