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初登校! Emerald Cultural Institute, Dublin 6 [英語留学(ダブリン2000)]

2000年1月10日(月)
エメラルド・カルチュラル・インスティテュートの初めての日だ。興奮して午前3時に目が覚めたが、また寝れて良かった。初登校はヒラリーの車で、クリスとジュディと一緒に乗っていった。
「エメラルド」はモダンできれいな建物で、全然「学校」というたたずまいじゃないのがすごい! 自分の他にも大勢の生徒さんが、入学手続きを待っていた。けっこう年配の人もいるのでなんだか安心する。みんなまだまだ勉強したいんだなあ。

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(↑Emerald Cultural Institute 当時のパンフレット)

ダブリンには沢山の外国人向け英語学校があるが、筆者が通う事にしたエメラルド・カルチュラル・インスティテュートもその一つで、ホストファミリーの住む住宅地から車で5〜10分ほど北に登ったところにあった。窓の外の風景からすると、シティ・センターに行くバスのルートに近いようだった。初日だからホストマザーのヒラリーは、気を効かせて送ってくれた。もともと子供さんを毎日送り迎えしているようで、アメリカ映画みたいだなあと思った。スクールバスじゃないのが意外だった。

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(↑Google Mapより)

校舎の前まできてびっくりした。それは校舎というには違和感がありすぎた。レンガ作りの壁、三角の屋根、張り出した窓。それはまるでお金持ちのお屋敷だった。

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(↑当時のパンフより)

例のpacket lunch(パケットランチ=サンドイッチとおやつのセット)を持たされ、車から降りる筆者。ヒラリーは「Have a good day K, see you later」と普通に挨拶して走り去っていった。日本人の感覚だとここは「初日だから緊張すると思うけど○○○、頑張って×××」などと色々言ってもらうべきところだが、ここはアイルランド。さっぱりしたものである。そもそも、そんな複雑なことを英語で言われても理解できるかどうかあやしかったので、簡単な挨拶だけで丁度よかったとも思う。

意を決して入口に向かう筆者。入口は石の階段の上に、大きな木製の扉がついている。自動ドアじゃないのが何だか嬉しい。取っ手を引いて開けると、そこは別世界だった。いや、筆者のいつも住んでいる世界とは別世界だけれども、この建物の中としてはふさわしいじゃないか。まずは大きなホール! 全体的に古びた感じの建物が、きれいにリフォームされている。目の端々に飛び込んでくる木製の調度品は、まるでインテリアショップの中のようだ。正面右手の立派な受付に、若い黒髪の女性が立っていたので、まずはどうすればいいのか聞こうと思った。

(よし「Excuse me, I am a new student, what should I do」と言うぞ…)

頭の中で作文してから歩み寄った筆者だったが、不意に先制攻撃を受けた。

受付の女性は、こちらが受付に到着する前にアイコンタクト、そしてスマイルという攻撃を仕掛けてきたのだ(←全然攻撃じゃないけど、当時はそれくらいびっくりした)

しまった、そういうことがあるかもしれないことをすっかり忘れていた…などと考えながら歩を進める自分は、相手の目を見返してはいたものの、顔にはきっと微妙に不自然な笑いを浮かべていただろう。

エクスキュ…
「Good morning, how are you?」

(しまったァー!)

まずは挨拶からという常識をすっかり忘れていた筆者であった。かなり恥ずかしかったが、これに「I'm fine, thank you」と返事をする。よし、これで大丈夫だ。これからはちゃんと最初は挨拶から始めるぞ。さあ、今こそ、Excuse meだ!


「How may I help you?」
(どうしましたか?)


またまたしまったァー!!
先に受付嬢に「どうしたの」と聞かれてしまい、「Excuse me」はついに言い出せなかった。何と言う事だ…とショックを受けるも、何とか「初日なんだけどどうしたらいいんですか」と聞くと、「あっちで待ってね」との事。さっき入ってきた入口横に低いテーブルや椅子があり、他にも初日らしい生徒が何人か、もう待っていた。よし、気を取り直して挨拶にまわるぞ!

昨年(1999年)にアイルランドを旅行したとき、ユースホステルの同室の旅行者たちと話したのを思い出しつつ、適当に、手持ち無沙汰にしていた男性に声をかけた。中背、小太りで、髪はブラウンでくるくるの巻き毛。こんな感じの人も前の旅行でいたよな…あのときは、イタリア人のジョルジョという人に会ったが、果たしてこの人もイタリア人だった。

「グーット、モールニング。ナイス・トゥ・ミート・ユー。マイ・ナーム・イス・ジュゼッペ。」

そのイタリア人男性は、ゆっくりと、間のびしたような話し方で、ジュゼッペと名乗った。顔立ちは、いわゆるハンサム顔でないもののとても表情豊かだ。まっすぐこっちの目を見て、満面の笑顔で握手をしてくれた。ジョルジョも、連れのアレッサンドロもこうだったよなあ、と思い出が蘇る。

自分の名前を名乗り、日本から来ました、よろしくね、と言った。すると彼は、「I am from Rome, do you know? (僕はローマから来たんだ、知ってるかい)」と聞いてきた。ローマかあ。今までの生活からするとローマは優美で壮麗で昔のヨーロッパの歴史の中心で、全くの別世界だが、ここにこうして、そこに住んでいる人がいるとまた不思議な違和感がある。正直に「知ってるけど行ったこと無い」と言うと、ふとジュゼッペの横にまた男性が来て、こう言った。

「Rome is a wonderful city!」
(ローマは素晴らしい街だ!)

彼の話によると、ジュゼッペと彼は、ローマの病院に勤務する看護士で、他にも同僚の看護士たちが一緒に、研修で英語を学びに来ているのだと言う。全員たどたどしい英語だが、意志の疎通は問題なくできるぞ。うれしくなってきた。

ジュゼッペもその男も、イタリア語で少し話を始めた。すると、きっと同僚の看護士たちだろう、その話に何人も入ってきた。研修初日だから打ち合わせだろうか。そのとき、突然話が終わってしまったので呆然としている筆者の腕を、誰かが横からつついた。

「グーット、モールニング」

あれっ、さっきの人とそっくりなGood morningだなあ、と思いつつ、挨拶と自己紹介をする。

「私は、レンツォ。きみの、名前は?」
「Kです、日本から来ました。あなたはイタリア人ではないのですか?」

「私は、イタリア人だよ。私の、家は、ラヴェンナという、街の、近くにある」


ラヴェンナはけっこう有名なところだが、当時の筆者は全く知らなかった。しかしレンツォは構わずに、途切れ途切れの英語でゆっくりと、こう続けた。

「…イタリア人とは、話したくない。私は、英語を、勉強したいから、ここに来たんだから」

これがレンツォ・ロンコー二との出会いだった。41歳事務員、一児のパパ。趣味はバイクと自転車。フランス語はある程度わかるが、英語は難しく、まだあまり話せないとのこと。年齢だけでなく何もかも当時の筆者とかけ離れていたこの人が、エメラルド・カルチュラル・インスティテュートでの、筆者の最初の友達だった。

(続きます。次回:クラス分けテストの巻)
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