Lesson 2:「LIKE」 [英語留学(ダブリン2000)]
また時間が空いてしまいました。なぜかというと、当時使っていたテキストを探していたのですが、これが見つからない。絶対どこかにあるはずなのですが…というわけで、あきらめて2日目はテキスト無し、ノート(日記兼用)を見ながら書いてます。
ちなみにこれが筆者の当時のノートです。現在では『東大合格生のノートはかならず美しい』という本が出ていますが、このノートを見ると東大合格生ではないことがはっきりわかりますね。
2000年1月11日(火)
昨日はディナーを食べた後、息子さんのクリストファーと遊んでいたら、もう一人の留学生が帰ってきた。スペイン人で名前はマリア。ウェービーな黒髪と日焼けした肌、黒い瞳。いかにもスペイン人という感じだ。実はもう学校の授業は全部終わっていて、今週出ていくらしい。しかも、出ていく先は友達と一緒に借りた家(?)で、仕事をしながらそこにしばらく住むらしい。昨日同じスペイン人のイサベルに聞いた話とバッチリかぶっている。ちなみにまだ二十歳だという。すごいなあ。
今日は“like”の異なる使い方について勉強した。
一夜明けて、朝はえらい騒ぎだった。
5歳の男の子と3歳の女の子が大声を出して走り回り、それを追ってご両親も大声を出して走り回る。動揺しながらもトースト、シリアル、インスタントコーヒーという朝食を黙々と食べ、逃げ出すように学校に向かった。今日からはバスで通学だ。
大きなドアを開け、感じのいいエントランス・ホールに入ると、受付に眼鏡をかけた若い女性がいる。昨日の反省を踏まえてスマイル、そしてGood morning! 次いでHow are you today? が来るのでこれを華麗に受け止めてI'm fine, thank you!! で返す! よし!! 普通に挨拶できたことによりテンション急上昇、絨毯の敷かれた幅の狭い階段を小走りで登り、教室に着いた。昨日のクラスで会った面々はまだ全員揃っていなかった。とりあえず、いる人に片っ端から挨拶する。そして、クリスティーナはまだ来ていなかったが、昨日座らせてもらったのと同じ所に座った。やがて他のみんなが集まり始め、9時を過ぎると、ドアを開けて大柄な、筋肉質の若い男が入ってきた。男は自分と目が合うやいなや、こっちにやって来た。
「Good morning, nice to meet you. My name is Peter.」
男はピーターと名乗って右手を差し出してきたので、こちらも手を出して握手し、聞かれる前に「Nice to meet you too, my name is K」と言った。ピーターは大きな声で「OK!」と言うと、同じく新しい生徒であるハナさんの方に歩いて行って、同じ事をしていた。
ピーターは角刈りと言ってもいいくらいの短髪だが、それでも金髪なのがわかる。目は青い。肌はとても白い。身長は190cmはあるだろう。体重は…かなり筋肉質だから、ひょっとしたら100kgくらいあるのではないだろうか。四角い顔、四角い上半身に、ポロシャツ、カーゴパンツ、ワークブーツといういでたち。先生というより、教官といったほうがしっくりくるだろう。そして声が大きい!
「This is the text book we're using」
(これが使ってる教科書だ)
ホワイトボードの前に戻ったピーターはそう言うと、A4くらいの、あまり分厚くない本を持ち上げ、表紙をこっちに向けた。そして、早い歩調でまた近づいてきて、筆者とハナさんの机に一冊ずつ置いていった。日本の学校だったら取りに行かされる事がほとんどなので、これは小さなことながら嬉しかった。教科書には「Intermediate」(中級)と書いてあった。
「ページ○○を開いて。今日はLikeからだ」
大声が響き、マーカーがホワイトボードに走る。
Sense verb - like
- taste like
- look like
- sound like
- feel like
センスバーブ、直訳すると感覚動詞か。おっといけない、日本語に直すのではなく英語のままで理解できるようになる、という目標でやるのだから。Sense verbs、sense verbs.
「この中でLikeという単語の意味を知らない者、居るか?」
ピーターがそう問うが、誰も名乗り出ない。今日も隣に座ったクリスティーナはピーターと視線が合うと、へらっとした笑顔で首を横に振った。そしてこっちを見た。つられて笑顔で首を振る筆者。ピーターは、「当たり前だよな」という感じでニヤリと笑うと、こう言った。
「John, what do you like doing?」
「ah ... I like football」
「Be careful. What do you like doing?」
「Oh, sorry. I like playing football.」
このやり取りの意味は自分にもよくわかった。中国人のジョンという学生にピーターが「何をするのが好きか」と聞いたが、ジョンが「サッカーが好きだ」と答えたため、訂正を促されたのだ。訂正した答えは「サッカーをするのが好きです」である。ピーターはこれを聞くと「Thanks John」と言って次の説明に移った。
「これがlikeの基本的な使い方だ。何をするのが好きだ。私は何々が好きだ。私は誰々が好きだ。だが、likeにはもっと幅広い使い方がある。例えばI would like!」
再びホワイトボードにインクが乗る。
I would like ...
「パブでもホストファミリーでもよく聞かれるだろう、What would you like(何がよろしいですか)?、そして I would like a pint of Guinness(ギネス・ビールを1パイント)と答える。ファミリーならI would like a cup of tea(紅茶を一杯)と答えるだろう。コーヒーでもいい。そして、同じくこれもよく使う」
I would like to ...
「Toの後は動詞だ。I would like to have a pint of Guinness(ギネスを1パイント飲みたい)、I would like to go to Galway(ゴールウェイに行きたい)! …ヘスス、What would you like to do this evening?」
今晩何がしたいか、と問われてメキシコ人の少年、ヘススが答える。
「Nothing」(何も)
ぶはっ、と隣のクリスティーナが吹き出した。当のヘススは若干うつむいて、不適な笑みを口元に浮かべている。他のみんなは笑いをこらえているようだ。イタリア人のクリスティーナだけが満面の笑顔でキョロキョロしていて、次の展開を楽しみにしているのがよくわかる。ピーターはうっすらと笑いを浮かべてこう言った。
「So you would like to do nothing」
(つまり何もしたくないんだな)
「Yes」
(はい)
「You'd say "no" in English」
(英語ではそこはイイエだ)
「OK」
(オーケー)
「…」
(沈黙)
ピーターから暗に「そういう時はこう言うんだ」という指示が出ている。しかしヘススはなぜかピーターが促しているように、全部の文章を言おうとしない。やり取りの内容からして、意図は伝わっているはずなのだが…しかしピーターは特にこだわらず、次の生徒に同じ質問を投げかけた。全員を一巡したはずだが、誰が何と答えたか覚えていない。それにしてもこのピーターという先生、なんかいいぞ。わかりやすいし、勢いがある!
このあと、likeの入った例文のテープを聴いたり、taste like(…みたいな味がする)のような使い方を勉強したはずなのだが、よく覚えていない。ノートの片隅に残った「freckles」(ソバカス)という走り書きが、さらに筆者の記憶を混乱させてくれる。なぜこんなものが…
9時に始まった文法の授業だったが、あっという間に2時間が経ち、11時の休憩になった。休憩は15分で、11:15からは昨日と同じく会話の授業らしい。
(続く)
次回:放課後オリエンテーションで町中のパブに行く
ちなみにこれが筆者の当時のノートです。現在では『東大合格生のノートはかならず美しい』という本が出ていますが、このノートを見ると東大合格生ではないことがはっきりわかりますね。
2000年1月11日(火)
昨日はディナーを食べた後、息子さんのクリストファーと遊んでいたら、もう一人の留学生が帰ってきた。スペイン人で名前はマリア。ウェービーな黒髪と日焼けした肌、黒い瞳。いかにもスペイン人という感じだ。実はもう学校の授業は全部終わっていて、今週出ていくらしい。しかも、出ていく先は友達と一緒に借りた家(?)で、仕事をしながらそこにしばらく住むらしい。昨日同じスペイン人のイサベルに聞いた話とバッチリかぶっている。ちなみにまだ二十歳だという。すごいなあ。
今日は“like”の異なる使い方について勉強した。
一夜明けて、朝はえらい騒ぎだった。
5歳の男の子と3歳の女の子が大声を出して走り回り、それを追ってご両親も大声を出して走り回る。動揺しながらもトースト、シリアル、インスタントコーヒーという朝食を黙々と食べ、逃げ出すように学校に向かった。今日からはバスで通学だ。
大きなドアを開け、感じのいいエントランス・ホールに入ると、受付に眼鏡をかけた若い女性がいる。昨日の反省を踏まえてスマイル、そしてGood morning! 次いでHow are you today? が来るのでこれを華麗に受け止めてI'm fine, thank you!! で返す! よし!! 普通に挨拶できたことによりテンション急上昇、絨毯の敷かれた幅の狭い階段を小走りで登り、教室に着いた。昨日のクラスで会った面々はまだ全員揃っていなかった。とりあえず、いる人に片っ端から挨拶する。そして、クリスティーナはまだ来ていなかったが、昨日座らせてもらったのと同じ所に座った。やがて他のみんなが集まり始め、9時を過ぎると、ドアを開けて大柄な、筋肉質の若い男が入ってきた。男は自分と目が合うやいなや、こっちにやって来た。
「Good morning, nice to meet you. My name is Peter.」
男はピーターと名乗って右手を差し出してきたので、こちらも手を出して握手し、聞かれる前に「Nice to meet you too, my name is K」と言った。ピーターは大きな声で「OK!」と言うと、同じく新しい生徒であるハナさんの方に歩いて行って、同じ事をしていた。
ピーターは角刈りと言ってもいいくらいの短髪だが、それでも金髪なのがわかる。目は青い。肌はとても白い。身長は190cmはあるだろう。体重は…かなり筋肉質だから、ひょっとしたら100kgくらいあるのではないだろうか。四角い顔、四角い上半身に、ポロシャツ、カーゴパンツ、ワークブーツといういでたち。先生というより、教官といったほうがしっくりくるだろう。そして声が大きい!
「This is the text book we're using」
(これが使ってる教科書だ)
ホワイトボードの前に戻ったピーターはそう言うと、A4くらいの、あまり分厚くない本を持ち上げ、表紙をこっちに向けた。そして、早い歩調でまた近づいてきて、筆者とハナさんの机に一冊ずつ置いていった。日本の学校だったら取りに行かされる事がほとんどなので、これは小さなことながら嬉しかった。教科書には「Intermediate」(中級)と書いてあった。
「ページ○○を開いて。今日はLikeからだ」
大声が響き、マーカーがホワイトボードに走る。
Sense verb - like
- taste like
- look like
- sound like
- feel like
センスバーブ、直訳すると感覚動詞か。おっといけない、日本語に直すのではなく英語のままで理解できるようになる、という目標でやるのだから。Sense verbs、sense verbs.
「この中でLikeという単語の意味を知らない者、居るか?」
ピーターがそう問うが、誰も名乗り出ない。今日も隣に座ったクリスティーナはピーターと視線が合うと、へらっとした笑顔で首を横に振った。そしてこっちを見た。つられて笑顔で首を振る筆者。ピーターは、「当たり前だよな」という感じでニヤリと笑うと、こう言った。
「John, what do you like doing?」
「ah ... I like football」
「Be careful. What do you like doing?」
「Oh, sorry. I like playing football.」
このやり取りの意味は自分にもよくわかった。中国人のジョンという学生にピーターが「何をするのが好きか」と聞いたが、ジョンが「サッカーが好きだ」と答えたため、訂正を促されたのだ。訂正した答えは「サッカーをするのが好きです」である。ピーターはこれを聞くと「Thanks John」と言って次の説明に移った。
「これがlikeの基本的な使い方だ。何をするのが好きだ。私は何々が好きだ。私は誰々が好きだ。だが、likeにはもっと幅広い使い方がある。例えばI would like!」
再びホワイトボードにインクが乗る。
I would like ...
「パブでもホストファミリーでもよく聞かれるだろう、What would you like(何がよろしいですか)?、そして I would like a pint of Guinness(ギネス・ビールを1パイント)と答える。ファミリーならI would like a cup of tea(紅茶を一杯)と答えるだろう。コーヒーでもいい。そして、同じくこれもよく使う」
I would like to ...
「Toの後は動詞だ。I would like to have a pint of Guinness(ギネスを1パイント飲みたい)、I would like to go to Galway(ゴールウェイに行きたい)! …ヘスス、What would you like to do this evening?」
今晩何がしたいか、と問われてメキシコ人の少年、ヘススが答える。
「Nothing」(何も)
ぶはっ、と隣のクリスティーナが吹き出した。当のヘススは若干うつむいて、不適な笑みを口元に浮かべている。他のみんなは笑いをこらえているようだ。イタリア人のクリスティーナだけが満面の笑顔でキョロキョロしていて、次の展開を楽しみにしているのがよくわかる。ピーターはうっすらと笑いを浮かべてこう言った。
「So you would like to do nothing」
(つまり何もしたくないんだな)
「Yes」
(はい)
「You'd say "no" in English」
(英語ではそこはイイエだ)
「OK」
(オーケー)
「…」
(沈黙)
ピーターから暗に「そういう時はこう言うんだ」という指示が出ている。しかしヘススはなぜかピーターが促しているように、全部の文章を言おうとしない。やり取りの内容からして、意図は伝わっているはずなのだが…しかしピーターは特にこだわらず、次の生徒に同じ質問を投げかけた。全員を一巡したはずだが、誰が何と答えたか覚えていない。それにしてもこのピーターという先生、なんかいいぞ。わかりやすいし、勢いがある!
このあと、likeの入った例文のテープを聴いたり、taste like(…みたいな味がする)のような使い方を勉強したはずなのだが、よく覚えていない。ノートの片隅に残った「freckles」(ソバカス)という走り書きが、さらに筆者の記憶を混乱させてくれる。なぜこんなものが…
9時に始まった文法の授業だったが、あっという間に2時間が経ち、11時の休憩になった。休憩は15分で、11:15からは昨日と同じく会話の授業らしい。
(続く)
次回:放課後オリエンテーションで町中のパブに行く
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