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チャーチタウンで散髪(ダブリン南郊外) [ダブリン観光(2000)]


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2000年1月15日(土)
朝から散髪に行った。なんと5ポンド! 理容師さんとも話せたし良かった良かった。そのあと切手を買って5ポンド札を崩してバスに乗る小銭を作った。

筆者は外国で散髪するのが大好きである。アイルランドも前の旅行中に1回やった。この日もホストファミリーに聞いて、家からちょっと歩いたところにある散髪屋に行った。看板を頼りに木造の家の2階に上がると、朝早かったが地元の人々がけっこう入っていた。

革張りの重そうな回転椅子、古めかしい洗髪台…日本で言うと昭和後期くらいの設備だったので、あまり違和感がなかった。日本でも昔はこういうとこで切ってたなあ。

「Please just make it shorter」(短くして下さい)
「All right」(いいよ)

椅子に座って、いかにもアイルランド人という感じの気さくな老紳士に超適当なリクエストを出したあと、「へえ、英語の勉強ねえ。我々が早口で話すと困るだろう」「そうですねえ」などと気楽な会話をして、すぐ終わった。シャンプーもなしで、頭に沢山毛が残ってそうだ。しかしそれでも5ポンドは安い。大学の卒業式のため日本に帰るのは3月だが、また帰る前にでも来ないと。

床屋からさらにちょっと歩いてみると、Braemor Roadという道沿いに小さな店の建ち並ぶ一角があったのでここを散策。いつもはいているズボンが、連日の通学で泥ハネを受けていたので、クリーニング店で値段をチェック。ズボンは2ポンド90ペンスらしい。その後、文房具店と郵便局がいっしょになったような店に入って、切手を買ってお札を崩した。バスに乗るための布石である。それにしてもひどく無愛想なおばさんだった。さっきの散髪屋の人々とはえらい違いだ。やっぱりみんながみんなフレンドリーなわけではないのだなあ。

ホストファミリー宅に戻って、誰もいなかったので気兼ねなくシャワールームに入り、頭を洗う。やはりかなりの毛が流れ出てきた。排水口が詰まりませんように、と祈りつつ、次回はまず部屋で新聞紙でも敷いて残った毛を落とそう、と考えた。

部屋に「Kへ、ランチは冷蔵庫の中」というメモがあったので、降りてキッチンに行き、冷蔵庫からいつものpacket lunch - サンドイッチと果物とおやつのセットを取り出した。そして一人で大きなテーブルに腰掛けて食べた。シンクの向こうの窓から緑が見える。家の後ろにも庭があるのか。

サンドイッチを片手に立ち上がり、これまでチェックしていなかった裏庭を、ドア越しに眺めた。長方形の庭がまっすぐ伸びている。広いなあ。木がないから広く見えるのだろうか? 奥には子供用のブランコが据え付けてある。今のアイルランドは生活のレベルが高いのだなあ。英国の植民地政策によって何世紀にもわたって苦しめられてきたのだから、よかったなあと思う。しかし後日ベルギー人Pieterと再会した筆者は、貧しい地域を訪れ、幻想を打ち砕かれるのだった。豊かな人がいれば貧しい人がいる。それはどこに行っても同じなのだ。


2 p.m.

ホスト宅の近くのガソリンスタンドの前で、イタリア人の友人、レンツォと待ち合わせ。よく「イタリア人は待ち合わせに遅れる」というので覚悟していたが、普通に時間通りに来てくれた。彼いわく、朝はホストファミリーの庭仕事を手伝っていたのだという。

「I, work, with a machine, like, duh-duh-duh」
(機械で、働くんだ、こんなふうに、ドドドド)

シンプルな単語を単純に並べただけ、過去形にすらなっていない。両手を前に出して何かを押すジェスチャーと共に口をすぼめてエンジン音を再現してくれたからこそ、「庭の芝生を機械で刈っていた」ということがわかったが…。相変わらずたどたどしいなあ、と偉そうに思ってしまった。レンツォが発しているのは英語だけでなく、プラスアルファの部分のコミュニケーション能力が優れているという事実には、この時点では全く気付いていなかった。昨日の出来事から24時間も経っていないというのに…

一緒にバスでシティセンターへ向かう間も、ずっとレンツォと話していた。彼いわく、ホストファミリーはかなりの高齢で、今日の芝刈りも、どうやら彼が言い出して刈ってあげたようだ。さすが一児のパパ、人間ができてるなあ…と思ったら「疲れた疲れた、私はお金を払って来てるのに、これならお金をもらってもいいくらいだ」と言い出したのが面白かった。他にも家が古いからか部屋が寒いとか、夕食の量が少ないとか言っていた。

筆者は家は新しくて快適で、料理もたっぷりで美味しいけど、子供が3人もいて遊んであげるのが大変だと言った。

「子供か、それはいかん、きみは英語の勉強をしにきた。子供と遊んでも英語は身に付かない」

はっきり言われてしまった。筆者も最初こそ「子供でもネイティヴ」と思って、一緒に遊ぶ事により生の英語が習得できるはずだと信じていたのだが、一週間も経つとそれが幻想でしかなかったことに気付かされた。例えばいくら本物のネイティヴ英語でも、「Mommy」(マミー、アイルランド英語ではモミー、つまり「お母さん」)のような表現は筆者には使い道がない。しかしそれよりも重要なのは、言葉に頼らない遊びが多いというところである。しかしもう子供が自分を遊び相手として認識してしまっているので、突然やめるわけにも…どうしよう(汗)

筆者の悩みをよそにレンツォは他にも色々なことを話していた。風光明媚な海岸地域とか、レンタサイクルとか、そして、イタリアの素晴らしい町並みとか。

ドーソン通りでバスを降りると、ショッピング街のグラフトン通りにくり出した。まずは店の外から見るだけ。相変わらず、ここにあるClerksの店が気になってたまらない。


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それから脇道に入ると、カンペールのショップがあった。これって日本で人気あるよな〜と思うが、どうせ高いだろうから入らなかった。

そのあとは北上して中央郵便局、書店のEASONと、奇しくも筆者のいつものパターンだった。きっとレンツォも同じような店が好きなのだ。レンツォは奥さんと娘さんへということで色々なものを探していたが、あまりこれといっていいものがなかったらしい。最後に、最初に通りがかったグラフトン通りのClerksの店に入って靴を見た。Renzoは飾ってある靴を手に取り、先の部分を大胆に曲げてみて「Good」などと言っていた。しかし何も買わずに終了。

帰りのバスでは、同じクラスのクリスティーナと出くわした。自分と挨拶すると、レンツォに向かってイタリア語で話しかけたが、レンツォは「English please?」と聞き返したので、3人で英語で話せることになった。これはいい感じだ。

クリスティーナ曰く、顔にもっとピアスを付けたいので穴をあけに来たのだという。痛くてお金がかかって、化膿したら大変だけど、それでも付けたいらしい。筆者には全然わからなかったが、レンツォにもどうもわからなかったようで、その話題はそのまま終わった。次は我々のショッピングについて。

「でも、ダブリンでショッピングって、つまんなくない? 店も少ないし、大したもの売ってないし、高いしさ」

昨日に引き続いて遠慮なく言うクリスティーナ。筆者は正直に「I don't think so, it's all right」(そうは思わないな、まあまあだよ)と答えた。同じイタリア人のレンツォだが、「It is different」(別物だね)と静かに答えた。

このあと、クリスティーナが次の日に行く場所の話をしていると、レンツォが乗ってきた。

「海岸沿いはいいわよ。電車で行けるし」
「いいね」

すかさず口をはさむ筆者。

「じゃあさ、明日二人で行こうよ。チャーチタウンからブラックロックってところまでバスが出てるんだ。そこから電車でその場所まで行こう」

「よし、行こう」

こうして唐突に、次の日は海岸沿いを散歩することになったのであった。
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