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メイヴ・ビンチーのホームタウン、Dalkeyへ(2000) [ダブリン観光(2000)]

2000年1月16日(日)
朝から子供達はものすごい勢いだった。あの喧噪の中に出ていくのはかなわないので、こっそりトイレだけ行って部屋で勉強してた。マリアは今日でお別れ。

ほとぼりが冷めたかな、と思って階下に下りると、やはり子供達に捕まった。「朝ご飯食べたいから」と言って丁重に断ろうとするが、効果なし。しかしホストマザーのヒラリーが「Kはご飯食べるからダメよ」と言うとあきらめた。さすがママ。

食べていると上から物音がした。振り返って階段のところを見ると、ホストファーザーのマイケルが、大きな荷物を下ろしてきていた。マリアのスーツケースだ。マリアは同じ学校に通っていたがもうコース修了して、これからは市内の「フラット」を友達とシェアして住むとのこと。仕事はパブのウェイトレスだという。今まであまり話す機会がなかったけど英語は上手いし、面接も楽に通ったのだろう。外国のパブで働くなんて、すごい度胸じゃないだろうか。

別れはさっぱりしていた。マイケルとヒラリーが玄関口まで送っていく。そこからはタクシーだ。筆者はそこまで親しくなかったので(3回くらいしか顔を合わせていない)、キッチンにいたが、マリアは自分の姿をみとめて「Bye K! Nice to meet you!! (じゃあねK! 会えて良かったわ)と大きな声で挨拶してくれた。慌てて「Good Luck!!」と叫び返す自分。


大きな地図で見る

そのあと、支度をして家の近くのガソリンスタンド「Texaco」に行った。
(※余談だが昨日Google Mapで見たら更地になっていたのでびっくりした)
ここでイタリア人の友人、レンツォと待ち合わせなのだ。昨日も時間通りに来てくれたレンツォだが、今日はバッチリ時間前。こっちの方が遅くて恐縮したが、特にそれは問題にならず、二人で17番のバスに乗った。行き先はブラックロック。

お気に入りのブラックロック・マーケットを得意気に案内する筆者。レンツォの反応も中々良く、あろうことか筆者がアラン・セーターを4ポンドで買った古着屋で薄手のセーターを掘り出して、2ポンド50ペンスで買っていた。やるな、この男。

「よし、ダルケイに行こうか」

ここからが本番で、レンツォのガイドブックに載っていたDalkeyというところに電車でいく事になっている。それにしてもさすがイタリア人、見事なローマ字読みだ。英語だから絶対「ダルキー」だろ、と思っていたのだが、駅員さんの発音は「ドールキィ」。習うより慣れろ、かな?

電車の中で、あろうことかまたクリスティーナに遭遇した。クリスティーナは他に何人か友達を連れていた。これから「キッリネイ」に行くのだそうな。

100716_1643_01.jpg

綴りはKilliney。キリニーじゃないだろうか、と思うがネイティヴのアイルランド人がいないと正確なところはわからない。

クリスティーナの連れは初めて見る顔も多かったのだが、簡単な挨拶をしただけで別な車両に行ってしまった。あれ? 実はクリスティーナはレンツォのことをよく思っていないのだが、この時は全くそんなことには気付かなかった。

そして電車はDalkeyの美しい海岸に到着…

emerald1070.jpg

…と思ったら曇っていた。

そして、最初の友達レンツォの勇姿(?)を撮ろうとしたら、景色を撮ろうとしてるんだと思われて避けられた。フィルムカメラだから撮り直す気にもなれず…

レンツォも海岸沿いが目当てではなかったらしい。地図を見ながら丘の方へ歩き始めた。丘に登って景色を眺めるのがメインだったのだ。道は険しくなく、我々はすぐ上に着いた。

…しかし、霧が出て来て景色はいまいち。本来このSorrento Parkから沖に浮かぶDalkey Islandが見えるらしいのだが…

運動にはなった、と思うことにした。帰り道でKing's Innというパブに入った。暖炉があって火が入っていて、文字通り暖を取ることができた。例によってギネス・ビールを飲んだのだが、レンツォがおごってくれた。暖炉の熱とギネスのほどよいぬるさが体中に心地よい。良い一日だった。


(おまけ)
Dalkey出身・在住の有名作家、メイヴ・ビンチーさんのインタビューです。アイルランド人特有の発音と語り口が伝われば何よりです。尚、日本語版は出てないようですが筆者は『Evening Class』が一番好きです。


(以下、筆者による抜粋+適当な訳)

メイヴ・ビンチー『愛しのアイルランド』

何が好きかって、アイルランドでは人とすごく手軽に話せるのがいいわ。
たまに外国に行く時に…そうね、例えばイングランドに行くでしょう。
あそこだと人と話すのがけっこう難しいのよ。
例えばバスを待ってるとするでしょう。他の人に話しかけるじゃない?
だってここじゃ、他の人と何も話さないで突っ立ってたらすごく失礼だから。

で、ロンドンに行った時ね、他の人に「このバスは○○行きですよね」とか聞いたのよ。
そしたらみんな逃げて行っちゃったのよ!
精神病院から出てきたんだと思われたのかしらね。
そのまま家についてきそうだとか、職場についていって隣に座ったりするとか。
それでも向こうの人は「帰ってくれ」って言えないのよね。言い方を知らないから。
アイルランド人はそういう時にどういうのかよーくわかってるのよ。
「じゃあ、これ以上あなたを拘束したくはありませんので」って言うでしょう、実は自分が帰りたいのにね!

あと、アイルランド人は誰でも、自分の考えを持っているのがいいわね。大きなビジョンを…人によっては間違ったビジョンだけど、とにかく大きいのよ。
イングランドの階級とかはよくわかんないわね。ここでは、そんなのバカみたいなものだなってみんな思ってるだろうし。

アメリカ人の方が話しやすいわ。みんな人見知りしないから。ほんとに全然人見知りしないのよ! でもどんな話がほんとに受けてるのかはいまいちわからないわ。私って大きくて長い話ばっかり書いてるでしょう? そんな感じで話してたら、たまに向こうの目が虚ろになってきてたりするのよ(笑) ひょっとしたらアメリカ人はもっと手短なのがいいのかもね。

でもやっぱりアイルランドが大好きよ。ここにいると、一点の曇りもなく「故郷」を感じるわ。みんな知ってるし、12年ぶりとか14年ぶりとかでも、この辺の人たちったら全然気にしないの。私たちが帰ってきたときも、みんな「最近見かけなかったね」って言うのよ、14年も外国に行ってたのに! 両親も健在だし、昔なじみの人たちも昔ながらのお店でまだ働いてるし、懐かしくて、素晴らしいわ。



Evening Class

Evening Class

  • 作者: Maeve Binchy
  • 出版社/メーカー: Dell
  • 発売日: 2007/05/29
  • メディア: ペーパーバック



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